
立冬・冬立つ・今朝の冬・冬に入る
冬来れば母の手織りの紺深し 細見綾子
立冬のことに草木のかがやける 沢木欣一
師と並び反古焚きし庭冬に入る 栗田やすし
誓子見し沖にタンカー冬に入る 国枝隆生
撒餌して雀呼びけり冬立つ日 梅田 葵
風紋にわが影長し冬に入る 栗田せつ子
立冬や老いたる母の水仕事 伊藤旅遊
立冬やブーツで歩く石畳 関根切子
手の甲に伸ばすクリーム今朝の冬 太田滋子
立冬の薪割る音の響きけり 加藤けい子
金魚田に水黒ぐろと冬に入る 竹中和子
米を研ぐ水の硬さや今朝の冬 山本悦子
水門の銹たる手摺冬来る 藤田映子

冬が来る隙間だらけの深山より 飯田龍太
顔に水押しあて洗ふ今朝の冬 鷹羽狩行
ガスの炎の力揃ひて冬に入る 岡本眸
この湖の蜆美し今朝の冬 村山故郷
まどゐして雨夜をたのしむ冬来たり 森澄雄